2005年01月17日

阪神淡路大震災から10年。(2)

暫くして、おばさん達の話が聞こえる。
『あそこに取り残されている人が…』

その頃になって、やっと落ち着いていた私は、そちらへ様子を見に行くことにした。
まだ、辺りは暗く、周辺の被害状況を把握出来ていない。

公園の、すぐ反対側。さっき居たところから、200mと離れていないビルを目の当たりにして−私は、凍りついた。

「これ…どうなってるの?」

理解するのに数秒かかった。1Fが無いビル。頭の高さに、2Fの床がある。

『助けて、助けて…』

声がする方に近づくと、2Fに取り残された奥さんが一人。

「ちょっとまってて下さい、はしごをもってきます!」

慌てて店に引き返して、はしごを持ってきて、掛けようとした所に警察が来た。

『どうした?そのはしごは?』
「店の備品です、2Fに取り残された人がいるので−」
『わかった、後はまかせろ。ここは危険だから避難してなさい。
  はしごは、借りてていいか?』

はしごをおいて、後をまかせた。


少しずつ、視界が聞く様になって−東の方が、赤く照らされているのに気づく。
火事だ…


その後、社員と二人で話し合う。
『こんな時やし、救急箱と、店の食材を配ろうか。』
「そうですね、そうしましょうか。」

二人で、店に一度戻る。店に飛び込んで、救急箱を−
としたら、余震が。一旦避難して、収まってから再び取りに入る。

こんな時なのに−いつきたのか(非難する前は無かった)パンが届いていた。
救急箱と、抱えれるだけのパンを持って、公園へ戻り、周囲に配る。

ラジオを持っている人がいた。みな、耳を傾けた。
【震源は淡路で、震度は5】

確か、そう言ったと思う。6と言ったかも知れない。
しかし、それには違和感を覚えなかった。

神戸と言うのは、震度1・2程度の地震しか普段は体験していない。
震度5と言われても、ピンとこなかった。


【おーい、若い人みんな集まってくれ〜。閉じ込められてる人がいるんだ!】
その声に、何人かが動く。でも、全然人手は足りていない。私もついていく。

この中に、おばあさんが−そう説明を受けて、4人ほどで入る。
つぶれた家で、2Fから入り、崩れた階段を下りて1Fに。

途中、何度も余震に怯えながらの救助活動。もし、大きな余震がきていたら。


おちついた頃には、周りは十分に明るくなっていた。
私は、再び店に水を取りに戻った。

−− JR線路の脇に、小さな火が見える。
  慌てて、店に入り、蛇口をひねる。
  ・・・水は、出ない。


諦めて外に出る。良かった、目の前に消防車がいる−
店の東に出て、愕然とした。大きな火事は判っていたが、まさか−
東に、火柱としか例えようの無い火の手が、遠くに見えた。

気を取り直し、近くにたっていた消防士さんに話し掛ける。
「あの、あそこに火が燃え移っています。」

『・・・だめなんだ。』
「え?」
『水が出ないんだ…』
「・・・」
 言葉に詰まる。

消防士さんは、言葉を−続ける。
『あの炎の下に−』
そういって指をさした、東南南の方角にも、火の手が見える。

苦しそうに、でもなんとか声を出した、その消防士さんの無念を、忘れる事は出来ない。
消防士さんは、一度もこちらを振り向きもせず、その場を動かず、ただ、炎を見つめながら私に告げた。

『まだ、閉じ込められた人が数百人いるんだ…』
「え・・・・」

想像は…容易に出来た。でも、現実にそう言われた時のショックは、予想をはるかに越えていた。私には、こういうしか無かった。

「なんとか…ならないん…ですか…」

消防士さんは、ただ黙って−その私の言葉に、悔しそうに、足元に転がっていた空き缶を蹴った。消防士さんの辛さが、氷の様に冷たく−胸に刺さった。

私はそれ以上声を掛けることも出来ずに、そっとその場を立ち去った。



その後も、何件かの家々を手が空いている人が回った。
周囲には、ガスの匂いが立ち込めていた。

ひとしきり終わって、社員の人と二人−
『一度、家に戻ろうか。家も心配だ。』
「そうですね…」

さっきのラジオの放送を、思い出す。
 【震源は淡路で…】
ここは、新長田である。舞子まで、約25km弱。
私の実家から、舞子までは、10kmそこそこ。
淡路は、舞子から近い。

※明石海峡大橋(本州=淡路)は、舞子駅の真上を通ります。


ここでこれだけの被害だったら…
実家は倒壊している?

実家だと、避難所は…小学校かな…
家が…倒れてたら…さすがに生きてないよね…

※わが家は、5F建ての公団住宅です。


帰り道は、ずっと不安で一杯だった。
ヒッチハイクで二人で帰る。
幸い、こういう時はみんな助け合いで、すぐに乗せて貰えた。
posted by しおん♪ at 05:46| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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